【ザックリ理解】今更聞けない” 5G ”の話 ~歴史から今後の動向まで~

DXのイメージ 技術動向
DXのイメージ

はじめに

こんにちは、Shoheiです!
今回は「いまさら聞けない 5G の話」ということで、普段、通信業界も相手に仕事をしている筆者が「ニュースや広告などではよく聞くけど、結局5Gってなんなの?どう変わったの?」という方に向けた、簡単な5Gの仕組みについての一緒に勉強しながら解説をしていきます。

5Gが現れるまで

まず最初に5Gの概要とその歴史についてふれていきたいと思います。

そもそも○Gってナニ?

5Gの”G”とは「Generation(世代)」の頭文字から来ています。つまり、5Gとは移動体通信システムの第5世代ということになります。
移動体通信システム、また難しい言葉が出てきましたね。移動体通信または移動通信とは、移動可能な通信機器を使ったコミュニケーションのことで、モバイル通信とも呼ばれます。具体的には携帯電話やスマートフォンなどがこれにあたります。つまり移動体通信システムとは、そのモバイル通信を構成するシステム部分のことを指しており、5Gとはそのシステム規格の第5世代目ということになります。
一方で、移動体通信の対義語として固定通信もあり。PCや固定電話などに使われる通信サービスのことを指しており、同じ通信サービスではありますが仕組みや用途などが明確に分けられています。

○Gの歴史

5Gがあるのであれば当然1G〜4Gまで存在します。ここでは各世代について、簡単にその特徴や世代間の変化について解説していきます。

1G

1980年代にアナログ通信の規格として商用化されました。当時の用途としては今でいう携帯電話であるショルダーフォンや、自動車に備え付けの自動車電話でした。アナログ通信であったために電波傍受されやすく、セキュリティ面での脆弱性が懸念されていました。

2G

1993年に初めて登場したデジタル通信規格です。1980年代後半から1990年代初頭にかけて利用者が急増し、帯域が逼迫したことで電波の利用効率を高める目的で転換された通信規格です。帯域の確保の他にも1Gで課題であったセキュリティ面に関してもデジタル化に伴って改善されました。さらに、デジタル化はデータ通信サービスの提供を可能にし、携帯電話のデータ通信利用が本格的に広がったことでWebアクセスやメールの普及にも影響を与えました。
2Gでの電波利用率を高める仕組みとしては「時分割多元接続(TDMA)」という技術が使われました。

時分割多元接続/Time Division Multiple Access(TDMA)とは
基本的に何もしなければ一つの帯域を携帯と基地局で一対一で結ぶことになりますが、これだと利用中の携帯の数だけ帯域を確保しなければいけなく電波の利用効率は悪くなります。
その改善のため、携帯と基地局を多対一で結ぶ方式をとります。その方式の一つとして、同じ帯域を複数の利用者で共有し、それぞれの通信を時間によって分割し、分割された通信を順番通りに送ることで基地局は一つの帯域で複数の利用者を区別することができるようになります。
欠点としては、時間と順番で利用者を区別していたので分割された各通信間の干渉を避けるために間に若干の無通信を挟んでいたため、時間的効率は低く、音声通信の場合に遅延が発生していました。

3G

2Gによりデータ通信サービスが普及し、サービスの普及に伴って通信品質(通信速度、容量)の向上が求められるようになりました。そこで2001年頃に登場したのが3Gです。3Gでは2Gの時間的効率の課題を解決するべく「符号分割多元接続(CDMA)」という技術を用いて電波効率の改善が図られました。

符号分割多元接続/Code Division Multiple Access(CDMA)とは
2Gの時分割多元接続では時間と順番で通信を区別していたのに対して、符号分割多元接続ではそれぞれの通信に符号を付与することで各通信がどの利用者のものかを区別できるようになりました。これにより同時に複数の通信を混合して飛ばすことができるようになり、2Gに比べて時間的効率が向上し、特に音声通信の品質が格段に向上したと言われています。

4G

1G→2G、2G→3Gに比べると大きな転換とは言えないものの、大容量・高速通信レベルが向上したと言われています。主にそれまでの携帯電話からスマートフォンの普及が進み、そのサービス向上に合わせた通信品質の向上が目的でした。

5G

5Gの登場背景は、世界的な社会問題の解決が背景にあると言われています。それがSDGsです。持続可能な開発目標の2030年までの達成に向けて世界中で革新的・破壊的な技術が誕生しており、その技術のベースを支えるのが5Gであると言われています。
具体的な技術には下記のような物があります。

  • 自動運転技術
  • もののインターネット(IoT)
  • 先進ロボット工学
  • AIの進歩

これらの技術のベースは大容量・低遅延・同時多接続が必要不可欠とされ、これらを解決する5G技術は努力目標ではなく、必達目標と言われています。

5G の仕組み

5Gの特徴としては「大容量通信」「低遅延」「多数同時接続」が挙げられます。これらの特徴はこれまで使われてこなかった高周波数帯の利用と超多素子アンテナ技術により実現されています。

まずは高周波数帯の利用について解説していきます。図にあるように5Gでの最低要求の10Gbpsに必要な周波数帯はおよそ数百MHz以上ですが、FM放送や既存の通信規格ですでに使われている帯域のために使えません。そのため未だ使われていない数百GHz周辺の高周波数帯域が利用されています。

引用:総務省 電波利用HP

実は5Gの最低必要帯域はすでに4Gまでで使われている帯域でも実現可能なんです。ここで疑問なのが「なぜこれまで現在5Gで使われている高周波数帯が使われてこなかったのか?」ということです。
その答えは、高周波数帯の電波は扱いづらいからです。どういうことかというと、電波の特性には直進性というものがあり、この直進性が高周波数帯では厄介な特性になっています。電波は波の特性を持っており、低周波数から高周波数になるにつれて波の感覚が細かくなります。波の感覚が大きい程周波数は、電波の通り道にビルなどの障害物があっても回り道をして邪魔されることなく伝わることができるのですが、波の細かい高周波数では障害物に対して回り込む力がなく、障害物の影響を受けやすいというデメリットがあるのです。そのため、この課題を解決するために中継基地局などを設けて障害物の影響を少なくする工夫がされています。

続いて、超多素子アンテナについてです。超多素子アンテナとは、ざっくりいうと非常に細かい高周波数帯の電波を、非常に細かい無数の受信機で認識するためのアンテナになっています。
これに関しては詳しくはドコモのHPをご覧ください。

超多素子アンテナについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
↓↓↓
超多素子アンテナについては現在執筆中です。しばらくお待ちください。

私たちの生活における5Gのメリットまとめ

昨年5Gが実用化され、都内などで5G対応スマホを使えば5Gを身近なものとして感じることができるようになりました。しかし、個々人として真っ先に恩恵として感じられる部分としてはエンタメ分野だと思います。YouTubeやNetflixなどの映像プラットフォーム、特に4K/8K動画などの大容量映像閲覧時に遅延なく動画を再生できる、またVRARといった通信容量が多いサービスが拡大するといったところでしょうか。
ではそれ以外に私たちの生活に欠かせない分野における5Gの影響とそのメリットにはどんなものがあるのでしょうか。

医療分野

医療分野における5Gの可能性の一つとして遠隔診療の実現があります。医師と患者さんを通信回線を通して問診レベルのやりとりをするだけであれば、従来の4Gでも遠隔診療は十分でした。しかし、5Gで可能になる遠隔診療ではさらに踏み込んだ診療ができるようになると言われています。
例えば患者さんを実際に見ている医師と、さらに高度な専門知識を持つ遠隔地の医師を5Gを通して連携することによって、現地での診療に使っている医療機器から出力される高精細な映像やデータを遠隔地にもリアルタイムで共有することが容易になると言われています。これまで足を運ばなければいけなかった遠隔地の病院に行かなくても、近場の病院に行くだけで高度な専門医に診てもらえる、そんな世界になりつつあります。
また遠隔診療のとして注目されていることの一つにオンライン手術というものがあります。手術支援ロボットを遠隔操作して、遠隔地からでも手術を施せるというものです。まるで漫画の世界ですね。オンライン手術も5Gの実用化により実現する医療業界の進歩と言われています。

自動車分野

自動車は自動運転が話題なのでイメージしやすいと思います。これまで自動車のセンサー情報は主に自動車内で利活用されてきました。速度メーターや、傾き検知など様々なセンサーが一つの自動車に取り付けられ、膨大な量のデータが各”自動車内”で処理されてきました。5Gで実現される未来としては、その膨大な量のデータを”自動車間”でやり取りすることで、自動運転の精度を上げたり、また事故の防止につながったりといった5Gの活用が考えられています。要するにこれまで車がそれぞれで判断していたことを、車同士が5Gを使って膨大なデータを元にコミュニケーションをすることで、より効率的な交通網の整理安全な自動運転につながる、というものです。自動運転は近い将来、私たちの生活の一部にもなるでしょうが、テスラの事故などで安全性が問われる技術です。その安全性を向上させるために間接的にですが、5Gの技術は大きな役割を担っています。

農畜産業分野

農畜産業分野においては日本でも人手不足が深刻で、世界規模で言うと人口増加に伴う食糧危機など全人類に”食糧”という観点で大きな課題につながっています。私たちの生活にも大きく関わってることです。
いかに効率よく、人手を少なく作業ができるかが直近の課題だと思います。そこで登場するのが、スマート農業、スマート畜産業です。膨大なセンサーにより集めた情報をリアルタイムで収集、AIで分析、そこからロボットやドローンなどで作業を制御する。これらの一連の流れの中には通信のリアルタイム性や大量のデータを一気に取り扱う、といった面で5Gは技術の基盤として必須になってきます。特に農業も畜産業も生き物を相手にする仕事で、状況が刻一刻と変わり、これまで農家の経験則で成り立っていた仕事を、5Gを基本とした技術で解決することで人手を少なく、一方で生産効率は高くすることで大きな効果が出ると言われています。

今後の動向

ここではすでに実用化されている5Gと、それに関わる技術動向および次世代の6Gについての研究についてもふれて解説したいと思います。

5G で実現される未来

私たち個々人の生活に関わるメリットは先ほどご紹介しましたが、5Gの恩恵を最も大きく受ける分野は産業界です。最近特に産業界において注目されているのはローカル5G</span2>です。
ローカル5Gについて詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
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【ザックリ理解】今増えているローカル 5G って何なの?〜基本から事例まで〜

ローカル5Gが日本国内で制度化(ざっくりと帯域利用が免許制になり法人単位で利用できるようになった)されたことにより、産業界では機械とAIの連携や遠隔操作を5Gを通して行うことで、これまでの様々な課題への取り組みが次々と出てきています。
例えば遠隔操作✖️5G✖️危険作業IoT✖️5G✖️人手不足などのように、大容量・低遅延で通信ができるメリットを生かした課題解決への取り組みが成されています。危険な作業を5Gのおかげで遠隔でも操作ラグなく正確に制御できる作業ロボットや、人手不足に対するIoTセンサーとローカル5G通信を連携させた工場内作業の自動化など、その可能性はますます広がりつつあります。

次世代6Gの出現

5Gが実用化され、身近なものになってから2年弱ですが、実はもう次の世代”6G”に関する実証実験や研究が行われており、日本でもNTTが5Gでの出遅れを教訓に世界での覇権を握るべく積極的な活動を行っています。それでは6Gではどういう未来が待っているのか、簡単にご紹介します。
現在まだ主流の4Gに比べて、5Gは役100倍ほどの通信速度が期待されていますが、6Gではその5Gの10倍の帯域幅の通信が可能と言われています。ただ、現在の100倍とか、それ以上とか言われても、もはや人間が認知できるほどの体感速度の変化を超えており「よくわからない」というのが正直なところかと思います。筆者もそうです。では、何がどう変わるのか診ていきましょう。
筆者が感じる6Gの特徴と私たちの生活の関係性で重要なキーワードになってくるのは”リアリティ”だと思っています。それも”超”リアリティです。専門用語で言うと”サイバー・フィジカル融合”です。どういうことかというと、サイバー(Cyber)空間と実(Phisical)空間の垣根をなくすという未来像のことです。これは筆者の極端な想像ですが、実空間の脳波をサイバー空間と融合させることで、意識だけロボットや仮想空間に送り込むことができるのでマトリックス攻殻機動隊のような世界観が現実になるのではないか、と思っています。興味はありますが、少し恐ろしい世界ですね。6GについてはNTTドコモが出しているホワイトペーパーがあるので詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

おわりに

いかがでしたでしょうか。
5Gは今回書いた情報以上に社会的課題や技術、また政治と様々な事象が世界中で複雑に絡み合った、これからの世界を支える技術です。ぜひこの記事をきっかけに5G勉強して見てください。

Shohei.N

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