はじめに
どうも、Shoheiです。
普段、都内のSaaS系スタートアップ企業でITエンジニアとしながら、スクラムマスターとしても活動しています。
そんな僕が実際のスクラム現場で遭遇した課題や疑問についてFAQ形式でご紹介します。
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Q. スプリントゴールは複数設定してもいい?
スクラムガイドには、スプリントゴールの個数に関する記述はありませんよね。
しかし、基本的にスプリントゴールは一つが望ましいです。
プリントゴールはこのように定義されています。
スプリントゴールはスプリントの唯⼀の⽬的である。
スクラムガイド
スプリントゴールは開発者が確約するものだが、スプリントゴールを達成するために必要となる作業に対しては柔軟性をもたらす。
スプリントゴールはまた、⼀貫性と集中を⽣み出し、スクラムチームに⼀致団結した作業を促すものでもある。
スプリントゴールは、スプリントプランニングで作成され、スプリントバックログに追加される。
スプリントゴール策定の目的はスプリント中にメンバーが取り組む活動に対する一貫性と集中をもたらすことです。
このように考えると、スプリントゴールが複数設定されている状況は一貫性と集中とは異なる環境になるため、複数のスプリントゴール設定は避けるべきです。
しかし、スプリントの期間が長いチームであったり、どうしてもスプリント中に複数のスプリントゴールを設定したい場合もあると思います。
そんな時はスプリントゴールの優先度を決めることをオススメします。
優先度があることで、スプリントバックログ内の作業に取り組むメンバーのプロダクト開発に対する目線を合わせることができ、同じ目標に向かったチームはより大きな成果を生み出すことができると思います。
Q. スプリントゴールはスプリント中に変更することができる?
スプリントゴールはスプリント中に変更しないことが望ましいです。
スプリントゴールはスプリント中の唯一の目的です。
スプリントゴールが変わってしまうということは,つまり開発のスコープが変わることになります。
目的が途中でブレてしまうとスプリントの達成を危うくするだけでなく,メンバーのモチベーションを下げてしまったり,これまで取れていた共通認識の内容にブレが生じてしまったりと,プロダクト開発だけでなくスクラムチームとして状況を生み出してしまいます。
仮にスプリント中にスプリントゴールを変更せざるを得ない場合は,スプリント自体を中止し,スプリント計画からやり直すことを
また,スプリントゴールの変更ではなく,スプリントゴールを変えない程度のスコープ調整を行うことをオススメします。
スプリントゴールに関係のないプロダクトバックログアイテムをスプリントバックログに入れてもいい?
スクラムガイドにはスプリントバックログが下記のように定義されています。
スプリントバックログは、スプリントゴール(なぜ)、スプリント向けに選択されたいくつかのプロダクトバックログアイテム(何を)、およびインクリメントを届けるための実⾏可能な計画(どのように)で構成される。
スクラムガイド
スクラムガイドではスプリントゴールとプロダクトバックログアイテムの関係性は明言されていません。
僕自身の現場での経験上,スプリントゴールに関与が薄いプロダクトバックログアイテムもスプリントバックログに入れても良いと考えています。
ただし,注意点があります。
それはメンバー内でのスプリントゴールへの意識です。
スプリントゴールの作業計画は基本的にプロダクトバックログアイテム(PBI)自体の優先度に関係なく,メンバーが実施しやすいように計画を立てても良いことになっています。
しかし,その作業計画の大前提としてスプリントゴールを達成するための計画であるというを念頭にスプリントを実施していく必要があります。
つまり,スプリントバックログはゴールに無関係なPBIが入ってもいいが,最優先されるのはゴール達成のための作業計画であるということです。
逆に,スプリントゴールを達成することができれば,スプリントバックログに入っているスプリントゴールに関係ないPBIの受け入れ状態は問題になってこないということです。
スプリントゴールはなんでもいいの?
スプリントゴールは基本的になんでも良いです。
しかし,前提があります。
スプリントゴールはスプリントの価値を定義するものである,ということです。
具体的には下記ような前提を意識してゴール設定をする必要があります。
- プロダクトにはなぜこのスプリントが必要なのか
- このスプリントを達成することでプロダクトにどういう価値が追加されるのか
- 価値がユーザーにどんな良いことをもたらし,組織にどういうアウトカムがもたらされるのか
XXXX機能を開発する
インフラを増強する
上記のようなスプリントゴールは良くありません。
スプリントゴールを考える上でのフォーマットは下記のようなものがあります。
このスプリントを通して●●●●を完成させ,エンドユーザーがXXXXできるようにする
〇〇〇〇機能に▲▲▲を追加することで,▽▽▽を■■%低減する
このようなフォーマットで考えるとスクラムメンバーにも理解してもらいやすいですし,ステークホルダーにも開発中の価値を認識してもらいやすくなります。
スプリントゴールの設定は正直とても大変です。
スクラム開発とビジネスを結びつける接点になるため,開発側の視点だけでなく,ビジネス的な視点も大いに必要になってくるので,組織のロードマップに沿ったスプリントゴールの策定を意識する必要があります。